京浜急行電鉄株式会社(以下 京急電鉄)は、鉄道事業を始めとした、バス・タクシーなどの交通事業のほか、流通事業、レジャー・サービス事業、不動産事業なども展開する鉄道会社です。同社運転課では、規程集やマニュアルの完全電子化による業務効率化と、環境保全への取り組みとしてペーパレス によるOA用紙使用枚数の削減をするために、デジタルコンテンツプラットフォーム『Handbook X』を活用しています。今回は導入背景や活用方法、今後の展望について鉄道本部運輸営業部運転課 石井 秀明氏にお話を伺いました。
1,000ページ以上の規程集や7種類のマニュアルをペーパレス化
京急電鉄では、運転取扱実施基準や作業基準、防災マップなど、乗務員が日々の業務で使用する1,000ページ以上の規程集や7種類のマニュアルを電子化し、全乗務員に迅速かつ確実に共有することで、 高品質な鉄道運行を実現しています。
ー Handbook Xを導入した理由を教えてください。
ー 規程集のペーパレス化だけで1回あたり50万枚の紙が削減されたわけですね!
「そうですね。当社では『サステナビリティ基本方針』のもと、環境保全への取り組みを積極的に進めておりますので、規程集やマニュアルのペーパレス 化による貢献度は高いです。」
ー 乗務員約750 名へのタブレット支給は大きな決断だったのではないでしょうか?
ー Handbook Xを導入して、どのような効果がありましたか?
「まず、毎年かかっていた規程集・マニュアルの印刷費用がゼロになりました。従来の紙ベースでは、印刷前に相見積もりや価格交渉のやり取りから始まって、冊子配布まで約2ヶ月かかっていました。しかし、Handbook Xでは最新ファイルをアップロードするだけなので1日で配布できます。」
ー 冊子だと配布が大変そうですね。
乗務員が作成した動画マニュアルを共有し、理解度を向上
Handbook XではPDFやOfficeファイルの他、動画やWebサイトなどを1箇所にまとめることができます。京急電鉄では単純な紙のデジタル化に留まらず、解説動画やページ遷移リンク付きのスライド資料など、デジタルの強みを活かしたマニュアルづくりによる乗務員の理解度向上へとつなげています。
ー 乗務員の業務にはどのような変化がありましたか?
「紙で運用していたときは、乗務員は規程集やマニュアルなど大量の冊子を持ち歩かなくてはいけないので、それだけでもかなりの負荷の軽減になっています。また、文書では理解しにくい内容 もあり、以前から図解やカラー印刷などの 工夫を していましたが、Handbook Xを導入して動画マニュアルでわかりやすく乗務員に伝えられるようになりました。」
ー 具体的にどのような動画マニュアルを配布されていますか?
乗務員が作成したマニュアルを登録してブックをカスタマイズ
ー 動画マニュアルはどなたが作成されたのですか?
「実は、最初に動画マニュアルを作成したのは乗務員なんです。本社 から配布するマニュアルだけでなく、乗務員が不足と感じている部分を、乗務員自身が動画マニュアルを作成して補って いくこともできるところが、Handbook Xを採用した決め手の1つです。」
Handbook Xでは、乗務員自らが作成したコンテンツを登録し、閲覧・共有することが可能です。Handbook X により、会社から提供される規程集・マニュアル 等と乗務員1人ひとりのニーズに応じたコンテンツを管理・閲覧できる、オーダーメイドのコンテンツマネジメントを実現します。
今後は試験機能を活用し、社員教育の効率とサービス品質向上を目指す
ー 最後に、今後の展望について教えてください。
「将来的には、定期的に実施している乗務員への試験やアンケートもHandbook X で運用することで、問題作成、集計、分析 などの効率化はもちろん、結果を集計してマニュアル理解度の可視化を行う予定です。乗務員の状況把握やコンテンツ改善に役立てて、社員教育を強化することで、サービス品質の向上を目指していきます。」